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日本が誇る眼鏡の生産地『鯖江』 vol.5

皆さんこんにちは。
いつも札幌店ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

4回にわたりご紹介させていただいた鯖江についてのお話も、いよいよ今回が最後となりました。

これまでは、生地が出来上がるまでの様子や、眼鏡が様々なパーツごとに細かい手作業によって作り上げられていく工程をお伝えさせていただきましたが、皆さん楽しんでいただけたでしょうか?

今回も是非最後までお付き合いいただけますと幸いです!

アーカイブはこちらからどうぞ↓
日本が誇る眼鏡の生産地『鯖江』 vol.1
日本が誇る眼鏡の生産地『鯖江』 vol.2
日本が誇る眼鏡の生産地『鯖江』 vol.3
日本が誇る眼鏡の生産地『鯖江』 vol.4

最後の締め括りとなるのは、長年ここ鯖江で眼鏡の製造を支え続け、家族3世代で営んでいる『伊部眼鏡』さんのご紹介です。

【伊部眼鏡】

お忙しく作業されている中、家族で経営されているという事もあってか、静かながらもアットホームな雰囲気が感じられ、とても優しい温度感が伝わってきました。

こちらの伊部眼鏡さんでは、フレームのガラ磨き、磨き、鼻パットの取り付け、丁番や鋲の取り付けから、シルクの刻印まで、フレームを作る上での全ての過程をご家族だけで行っています。

まずは、ガラ磨きから上がったフレームのヤゲンの溝を出していくところから拝見させていただきました。

磨きをスムーズに行うための大切な下準備で、この作業も本当に細かくて、洗浄機で取れない箇所であるヤゲンの部分を竹串を使って一つ一つ丁寧に溝を掘っていきます。
派手ではない作業ではありますが、素早い手捌きで綺麗に取れていく様子がとても気持ちが良くて、ずっと見ていられほどの所作に思わず目が釘付けになりました。

他にも、vol.2でご紹介させていただきました、『松原蝶製作』さんにて製作されている鼻パットがこちらに送られ、鼻パットの取り付けも行われており、もちろんこの取り付けも手作業となります。

なんとパット取り付けについては、この道40年だと教えてくださいました。

パットの個体差もそれぞれある中で、細かな厚みなどを指の感覚で選定できるのも、長年培われてきた経験があるからこその成せる技ですよね。

次に拝見させていただいたのは、フロント部分に見られる、鋲と丁番の取り付けです。
この鋲を入れる2つの穴も、機械を使い職人さんの手によって穴を開けていきます。

そして、この2つの穴に鋲を入れて、裏に丁番をはめるという工程をまず手作業で行います。

浮き出ている鋲をフラットにするために、機械を使ってプレスしていきます。プレスの温度は100度にも上るそうです。
高温でプレスする事で、浮き出ていた鋲の部分が平らになり、滑らかな手触りへと仕上がります。

そうすると、裏側から押し出された鋲が出てくるので、別の機械を使ってかしめていきます。
これがいわゆる『カシメ』の作業となります。

伊部眼鏡さんのご主人は主に磨きを担当していて、お話を聞くと、なんとこの道70年との事。

テンプルに合わせるため、フロントの角を滑らかにしていく作業を行われていたのですが、角を落としていくその角度は長年の感覚だと仰っており、迷いや無駄な動きが一つとしてなく、次々と作業をこなされていました。
その感覚というのもすぐに身についた事では決してなく、70年間積み上げてきたという経験があってこその賜物であり、今後の眼鏡業界にも引き継いでいかなくてはならない技術だと実感しました。

バフ磨きの機械は段階ごとに機械を変えて磨きを行うため数台種類があり、出荷数が多い時はご家族総出で並んで磨きを行うそうです。
磨き残しやキズがないように、ご家族全員で協力し合い一致団結出来なければ、かなりのオーダー数を少ない人数でこなしていく事はそう簡単に出来る事ではないと思います。皆さんがこの仕事に誇りを持っているから出来る事なのではないでしょうか。

2階には出荷前最後の作業が行われる部屋があり、レンズ入れ、シルクの刻印、梱包までの最終仕上げがこちらで行われます。
シルクの刻印は自社で行っている工場は少なく、最近では外注で依頼しているところの方が多いそうですが、伊部眼鏡さんでは全ての工程を自社で行う事で、JAPAN MADE への拘りや信念が強く感じられました。


現代では機械化が進む今もなお、鯖江では眼鏡を製作する上での工程を簡易化する事なく、分業制で行い、どの作業一つとっても、全てにおいて必ず職人さんたちの手作業が加えられる事によって、高品質で最高の掛け心地が実現できるのです。

一本の眼鏡が出来上がるまでに、それぞれのエキスパートであるたくさんの職人さんたちが関わり、長い年月をかけて、いろんな方たちの想いや魂が込められて作られているという事が肌で感じられました。
そして、その眼鏡を販売するという立場にある事がとても光栄で嬉しく思い、実際に鯖江の工場で見てきた事をもっと多くの方に知ってほしい、伝えていきたいという想いがより一層強くなりました。

鯖江の皆さんはとても温かく出迎えてくださり、仕事の合間にたくさんのお話をしていただき、私たちにとって有意義でかけがえのない時間を共有する事ができて、大変充実した幸せな一日を過ごさせていただきました。

そして、牧野様、山口様、お忙しい中、鯖江のまちをたくさんご案内していただき、本当にありがとうございました。
札幌にいると体験出来ない事ばかりで、色々な刺激を受ける事が出来、とても良い経験になりました!

今回は5回にわたり鯖江レポートをお届けさせていただきましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
皆さんもこのブログを読んで、普段何気なく掛けている眼鏡が出来上がるまでに、こんなストーリーがあるという事を知っていただき、さらに興味を持っていただければ幸いです。

こちらも是非ご覧ください↓
伊部眼鏡